ケーソン工法(読み)けーそんこうほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケーソン工法」の意味・わかりやすい解説

ケーソン工法
けーそんこうほう

建設工事に用いられる基礎工法の一種。ケーソンcaissonと称する箱状構造物を所定の支持地盤まで沈設し、基礎あるいは地下構造物を構築する工法。オープンケーソンopen caisson工法とニューマチックケーソンpneumatic caisson工法に大別される。オープンケーソン工法は井筒またはウェルwellともいい、ケーソン内の地盤を大気中または水中においてクラムシェルclamshellなどで掘削し所定の地盤まで沈下させるものである。ニューマチックケーソン工法は、ケーソン下部に隔壁を設け気密作業室をつくり、この中に圧縮空気を送り込んで地下水の浸入を防ぎつつ、人力あるいは作業機械により掘削を行いケーソンを沈下させる工法である。潜函(せんかん)工法、空気ケーソン工法、圧気ケーソン工法などともいう。

 港湾構造物や海中基礎などの水上工事では、ボックスケーソン設置ケーソン、フローティングケーソンfloating caissonなどとよばれるケーソン工法も多用される。いずれも、あらかじめ陸上で製作したケーソンを水上に浮かせて曳航(えいこう)し、注水などによって所定の水底地盤に沈設する原理のものである。ほかに鋼管矢板をケーソンと同様の形状に打設閉合する矢板式基礎や、地盤中にケーソン状に掘った溝の中に場所打ちコンクリートを打設して構築する地下連続壁基礎なども特殊なケーソンとして分類される場合もある。

 ケーソン躯体(くたい)の構造材料に古くは木製枠やれんが造なども用いたが、現在一般には鉄筋コンクリートプレストレストコンクリート、鋼製のケーソンを用いる。近年、施工技術の進歩に伴い大規模なケーソンや深い海中での施工が可能となり、ケーソンの適用範囲は大きく拡大している。

河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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