海中に潜って操業する漁業の意で,日本にはアマあるいはカヅキとよばれる伝統的な漁民がいる。アマには,男である海士と女である海女がいるが,かつては男女とも腰巻やふんどしなど,わずかな布を身につけただけの裸同様の姿で海に潜り,テングサ,ワカメ,コンブなどの海藻や,アワビ,サザエ,ウニなどの貝類などを,イソガネやカマなどの爬具を用いて採った。男アマである海士は,このほか,〈もり〉や〈やす〉などを使った魚の潜り突きを行うことも多かった。アマは潜水の際に眼鏡や分銅を用いるが,はやく浮きあがるために,船からさげた綱を用いることも多い。アマは家族単位,仲間単位の集団で漁に従事するが,それぞれのイソバ(採集場)は他人に秘密とされ,オベ,ネヤ,ジョンバなどとよばれ,他のアマは近づくのを遠慮した。イソバを求めてかつては広範囲に移動し,そのまま定住したと伝えるムラが,西日本には各地に存在する。
→海人(あま)
執筆者:高桑 守史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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