日本大百科全書(ニッポニカ) 「潜水漁法」の意味・わかりやすい解説
潜水漁法
せんすいぎょほう
人間が潜水して行う漁業。一般に沿岸で行われる場合が多く、代表的な漁法として次の3種をあげることができる。
(1)素潜り漁法 海女(あま)(海士(あま))が息をこらえて潜水する、いわゆる素潜りによって、アワビ、サザエなどの貝類や、テングサなどの海藻類を採取する漁法。
(2)潜水器を用いる漁法 ヘルメット式やマスク式およびスキューバの空気を供給する潜水器を装備した人間が、水中で作業する漁法。この漁法は比較的深い所でも作業をすることができ、主として解禁期のアワビ、サザエ、タイラギ、ミルガイ、テングサなどが漁獲の対象であるが、かつてはボタンなどの材料にされたシロチョウガイの採取に、アラフラ海で日本のダイバー(潜水夫)が活躍した。
(3)追込み網漁法 袋網の両側に袖網(そであみ)のついた、いわゆる追込み網を海底の一方向に張っておき、網の前方から漁夫が素潜り、スキューバ潜水で魚群を袋網に追い詰めて漁獲する漁法。素潜りをする人数は網の規模によって異なるが、普通は数人ぐらいである。伊豆諸島や南西諸島で行われている。
[山田 稔]