火刑台上のジャンヌ・ダルク(読み)かけいだいじょうのじゃんぬだるく(その他表記)Jeanne d'Arc au Bûcher

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

火刑台上のジャンヌ・ダルク
かけいだいじょうのじゃんぬだるく
Jeanne d'Arc au Bûcher

フランスの作曲家アルチュール・オネゲルが詩人ポール・クローデルの協力によって作曲した劇的オラトリオ。プロローグと11景からなる。1938年演奏会形式により初演バーゼル)。51年パリで舞台初上演。物語の筋を順に追うのではなく、火刑台上のジャンヌ過去のできごとを一つ一つ回想する形をとっているため、叙事的性格よりも叙情的性格が強い。オネゲルは、ジャンヌを含む主役テキストを歌わせず語らせることによって、文学作品としてのイメージを保ち、総合芸術的な作品をつくることに成功した。多彩な管弦楽による音画的描写合唱の強い表出力、中世ルネサンス音楽の導入などが音楽面の特徴といえよう。日本初演は1959年(昭和34)。

[三宅幸夫]

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世界大百科事典(旧版)内の火刑台上のジャンヌ・ダルクの言及

【オラトリオ】より

…20世紀に入ると題材も手法も多様化し,地域的な広がりを見せる。まずフランスではオネゲルが中世の神秘劇の手法を導入した《ダビデ王》(1921)を作曲,《火刑台上のジャンヌ・ダルク》(1935)では演技を伴う一種のオペラ・オラトリオを創作し,この種のものとしてストラビンスキー(ロシア)の《オイディプス王》(1927),シェーンベルク(オーストリア)の《モーセとアロン》(1930‐32)などがある。1930年ころには教会音楽改新の影響を受けて,プロテスタント教会のヒストリアがK.トーマスによって見なおされ,ドイツではJ.ドリースラーの《生ける者》(1956),スイスではW.ブルクハルトの《イザヤの顔》(1935),F.マルタンの《ゴルゴタ》(1948),《降誕の秘跡》(1959),フランスではG.ミゴの《山上の垂訓》(1936)など数多く作曲される。…

【クローデル】より

…そのような全体演劇の実験は,さらに《クリストファー・コロンブスの書物》(1927。D.ミヨーがオペラなどの形で作曲)や《火刑台上のジャンヌ・ダルク》(1934。A.オネゲル作曲)に引き継がれる。…

※「火刑台上のジャンヌ・ダルク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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