ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火山の冬」の意味・わかりやすい解説 火山の冬かざんのふゆvolcanic winter 大規模な火山噴火によって,大気に大量の火山灰や硫黄酸化物を含んだ火山ガスが放出され,それらがエアロゾルとして大気にとどまって,太陽光をさえぎり,気候が寒冷化する現象をいう。1991年のフィリピンのピナツボ山の噴火は,20世紀末の大規模な火山噴火であり,その翌年には異常気象が発生した。歴史時代には,1783年のアイスランドのラーキ山,1815年のインドネシアのタンボラ山,1883年のインドネシアのクラカトア火山の大噴火のあと,気候が寒冷化したことが知られている。こうした大規模な火山噴火やその後の気候寒冷化については,グリーンランドの氷床コアの解析が行なわれ,過去 2000年における火山噴火と気候変動の関係が研究されている。地質時代には,大規模な洪水玄武岩(台地玄武岩)の火山活動があり,2億5000万年前のシベリア洪水玄武岩の火山活動では,噴火による気候変動などが古生代末の生物大量絶滅をもたらしたと考えられている。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by