日本大百科全書(ニッポニカ) 「灰色かび病」の意味・わかりやすい解説
灰色かび病
はいいろかびびょう
トマト、キュウリ、イチゴ、シクラメンなど野菜類、果実、花類に広く発生する病気で、ボトリティス・シネレアBotrytis cinereaという不完全菌に属するカビの寄生によっておこる。若い葉や果実、花弁などによく発生する。病気にかかると褐色になり、表面に灰色のカビ(分生胞子)を密生し腐る。温室やハウス栽培で湿度が高いと発生が多い。果実、野菜など輸送中に発生し、大きな被害を与えることがある。また、花では花弁にしみ状の斑点(はんてん)を生ずることがあり、ランなどでは商品価値を低下させる。防除は、できるだけ湿度を下げるようにすること、発生を認めたら、プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン剤などを散布するが、薬剤に対し抵抗力をもった耐性菌ができやすいので、同一薬剤の連用を避け、スルフェン酸系水和剤などと交互に散布する。また、1999年以降、生物農薬バチルスズブチリス剤(「ボトキラー」)も使われるようになった。
[梶原敏宏]