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イチゴ

栄養・生化学辞典の解説

イチゴ

 [Fragaria chiloensis var. ananassa],[F. grandiflora].バラ目バラ科オランダイチゴ属の植物の果実で,生食したり加工して食用にする.果実を草イチゴということがある.ビタミンCに富む.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

食の医学館の解説

イチゴ

《栄養と働き》


 イチゴの種類は多く、キイチゴやクサイチゴなどの野生種を含めるとわが国だけでも50種以上はあるといわれています。
 現在市販されているイチゴは南アメリカ原産で、1840年にオランダ人によって長崎にもたらされたことから、オランダイチゴと呼ばれています。
○栄養成分としての働き
 イチゴはビタミンCが多いくだものとして知られています。事実、レモンと同じくらいのビタミンCを含有し、10粒ほど食べるだけで、1日に必要な量を摂取することができます。イチゴは生で食べる場合がほとんどのため、加熱によるビタミンCの損失もありません。
 タバコを1本吸うと、約25mgのビタミンCが破壊されるといわれています。またストレスでもビタミンCがはげしく消耗します。
 したがって、愛煙家やストレスの多い現代人は、積極的に食べたいくだものです。
 ビタミンCはコラーゲンの生成に重要な役割をになっており、血管・皮膚・粘膜(ねんまく)などを丈夫にします。そのため手術後の回復期の人におすすめですし、歯周粘膜を丈夫にするので、歯周病にも効果があります。また免疫力を高め、かぜやがんを予防するほか、肌の新陳代謝を高めるので、シミ、ソバカス、吹き出ものなどにも有効です。
 なお、ビタミンCは水溶性のため、必要量以上摂取しても排出されるので安心です。
〈ペクチン、リンゴ酸、クエン酸で便秘解消に働く〉
 イチゴは水溶性食物繊維ペクチンが豊富なうえ、リンゴ酸、クエン酸を含むため、大腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)をうながして便秘解消にもつながります。
 カナダにおける研究で、イチゴには異なる数種類のウイルスを殺す力があることがわかりました。

《調理のポイント》


 イチゴの旬(しゅん)は晩春から初夏にかけてでしたが、ハウス栽培がさかんになったため、現在では真夏以外は出回っています。ケーキに使うことから、いちばん出荷量が多いのはクリスマス時期だそうです。
 イチゴの表面は傷つきやすいので、やさしく洗います。洗う前にヘタをとると、水っぽくなってしまうだけでなく、ビタミンCの損失が大きくなります。
 ストロベリーはストロー(わら)からきているともいわれ、ヘタの部分をとると、水が侵入しやすいからです。

出典 小学館食の医学館について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イチゴ
いちご / 苺
strawberry
[学]Fragaria grandiflora Ehrh.

バラ科の多年草。葉は3小葉からなる複葉で、長柄があり、葉柄や葉の裏面には毛がある。各小葉は長さ3~6センチメートル、幅2~5センチメートル、縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。5~6月、径3センチメートルほどの白色花をつける。花期後に花托(かたく)が肥大して多肉質円錐(えんすい)形になり、その表面に痩果(そうか)が配列している偽果を形成する。果実は紅色から赤く熟し、芳香が強く、甘酸味がよく調和する。多くの栽培品種があり、果実の大きさや形はさまざまである。主茎は伸びないが、結実終了後に走出枝(ランナー)を伸ばし、その各節から発芽・発根して殖える。
 南アメリカ原産で、現在の栽培種の大部分はペルーからパタゴニアに野生しているチリイチゴF. chiloensis (L.) Duch.(染色体数2n=56)と、北アメリカ東部に野生するF. virginiana Duch.(染色体数2n=56)との雑種起源と考えられている。このほかにも他種との交雑に由来するものが若干あるといわれる。イチゴと人類とのかかわり合いは古く、野生イチゴの利用は石器時代までさかのぼる。栽培化された初期のころは薬用であったというが、14世紀以降、ヨーロッパでF. vescaF. moschataなどが栽培され始めた。新大陸発見に伴って、北アメリカや南アメリカの大果の野生種が導入され、17世紀の中ごろから品種改良が始まり、現在のイチゴがつくりだされた。日本へは江戸時代の末期に南蛮船によってもたらされ、オランダイチゴとよばれるようになった。現在の栽培品種はこれとは別で、明治以降新たに導入された品種およびその子孫である。普通栽培では3~6月が収穫期であるが、栽培法と品種との組合せで、ほぼ一年中供給されるようになった。[星川清親]

促成栽培

8月上旬~9月上旬の約1か月間、苗を高冷地の低温条件にさらして花芽分化を促す(山上げという)。これをビニルハウスや温室で促成栽培し、10月中旬から翌年3月にかけて収穫する。著名な品種に福羽(ふくば)がある。1898年(明治31)福羽逸人(はやと)(1856―1921)の育成になる品種で、第二次世界大戦前の石垣イチゴはこの品種を用いた。果実は細長く、大きいものは長さ10センチメートル、重さ80グラムになる。ほかに促成用品種として、堀田ワンダー、はるのかなどがある。[星川清親]

準促成栽培

12月から翌年4月にかけて収穫する。かつてこの時期は、静岡県久能山(くのうざん)の石垣イチゴの独壇場であったが、現在はビニルハウスと石油暖房により、東北地方でも栽培可能となった。主要品種ははるのかと芳玉(ほうぎょく)[星川清親]

普通栽培

3~6月に収穫する。現在の有力品種はダナーと宝交早生(ほうこうわせ)。ダナーは第二次世界大戦後導入されたアメリカの品種で、濃赤色で、その香味は関東地方で好まれる。宝交早生は兵庫県宝塚で育成された品種で、明赤色、果肉がやや軟らかく、関西地方でより好まれる。ほかに、たかね、幸玉(こうぎょく)などの品種がある。普通栽培に類する方法として、自然の低温で花芽形成したのち、ビニルをかけて生育をすこし早める半促成栽培や、苗を冷蔵庫に入れて低温で花芽分化させ、次に電照栽培を行い、さらに10日ほど結実を早めることもある。[星川清親]

抑制栽培

2月に掘り上げた株を冷蔵庫に入れ、8月に花が咲くばかりになったころ取り出して植え付けると、すぐに開花し、9月から10月にかけて収穫できる。7~8月はイチゴの少ないときで、高冷地産のイチゴでつないでいくが、それでも8月どりは困難とされる。現在この時期のイチゴはアメリカからの空輸に頼っている。なお、ジャムなど加工用の品種には、御牧ヶ原、ふじさきなどがある。
 栽培は、果実の収穫の終わった親株を肥料をやって育て、発生したランナーにできた新苗をとって定植する。イチゴの主要病害であるウイルス病を防ぐため、成長点培養(メリクロン)によってウイルス・フリーの苗を増殖する技術が実用化されている。
 現在、イチゴの国内収穫量は年約19万6200トン、作付面積は6880ヘクタール(2005)、主要な生産県は栃木、愛知、静岡、福岡、熊本などである。[星川清親]

利用

イチゴは冬期のビニル被覆栽培、石垣栽培などをはじめとして、陽光のよく当たる畑地や、水田の転換利用などに取り入れられ、主として12月上旬から6月上旬まで新鮮な果実が出回る。果実は100グラム中に35キロカロリーをもち、炭水化物8.3グラム、カルシウム17ミリグラム、リン28ミリグラム、ナトリウム1ミリグラムを含み、ビタミンはカロチン6マイクログラム、ビタミンC80ミリグラム、B1とB2で0.05ミリグラムなどを含み、かならずしもこれら成分に富んでいるとはいえないが、新鮮な果実は食味をそそる。
 生果利用としては、水洗後そのまま食し、また砂糖や牛乳を加えてもよい。ショートケーキ、サラダにも利用される。冷凍利用は、水洗後、零下1℃で1日予冷し、これに砂糖30~40%を加えて凍結させ、零下20℃で貯蔵する。これはそのまま利用できるし、また加工原料にもよい。冷凍輸送にも適す。ジャム、プリザーブとしても需要が多く、果実に含まれる可溶性ペクチンは、製品の粘度を保つのに好都合である。家庭でつくるには、水洗し、萼(がく)を除いて水切りし、果実の60~80%の砂糖を加え、ほうろう引きかガラス鍋(なべ)で加熱濃縮する。果形をそのまま保つとプリザーブで、つぶすとジャムになる。酸味の強い品種が適す。ジュースとしてもよく、貯蔵用には果実を80~100℃で急速に加熱、搾汁し、そのまま、または50%程度の加糖をしてシロップとする。いちご酒をつくるには、果実1キログラムに等量または半量の砂糖を加え、焼酎(しょうちゅう)1.8リットルに漬けて2~3か月熟成する。この際1、2個のライムやレモンの輪切りを加えるとよい。アイスクリームにも利用する。[飯塚宗夫]

民俗

近代的なオランダイチゴが誕生する17世紀以前には、同属のエゾヘビイチゴFragaria vescaなどの野イチゴが食用にされていた。属名のフラガリアは、北欧神話の光の神の母親フラグ(フリッグ)にちなむ。ヨーロッパにキリスト教が広まると、フラグは聖母マリアに置き換えられ、イチゴは聖母の実とされた。また中世のイギリスでは正義の実とされ、貴族たちは好んで冠にイチゴの葉の飾りを付けた。このことから、イチゴの葉を得ること(to win the strawberry leaves)は、爵位を授かることを意味するようになった。[湯浅浩史]
『矢部和則著『イチゴ――NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月』(2001・日本放送出版協会) ▽松田照男編著『イチゴQ&A栽培技術早わかり』(2003・全国農業改良普及支援協会) ▽谷本雄治著『バケツ畑で野菜づくり4――イチゴ』(2003・フレーベル館) ▽農山漁村文化協会編『野菜園芸大百科3――イチゴ 第2版』(2004・農山漁村文化協会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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