日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
災害時精神保健医療情報支援システム
さいがいじせいしんほけんいりょうじょうほうしえんしすてむ
Disaster Mental Health Information Support System
災害発生時、被災者に対する精神科医療、精神保健活動の支援を行うため、関係機関が迅速に情報を共有する仕組み。インターネットが使える通信環境とパソコンを使い認証を受けることで、専用回線や特別な端末がなくとも情報の閲覧や記録が可能である。略称DMHISS(ディーミス)。厚生労働省の委託によって国立精神・神経医療研究センターが開発したもので、同センター内に設置された災害時こころの情報支援センターが、2013年(平成25)2月より運用している。
具体的には、地震や噴火、航空機事故などの大規模な災害や事故が発生した場合、被災地域の自治体、災害派遣精神医療チーム(DPAT(ディーパット))を派遣する都道府県、災害時こころの情報支援センター、厚生労働省などの関係機関が、精神医療や精神保健活動の必要な地域情報や被災者のニーズなどを共有し、医療チーム派遣の判断や医療活動の後方支援のために使う。主要な機能としては、以下の3点があげられる。(1)被災した都道府県からの要請に基づき、厚生労働省は、DPATを派遣する自治体や派遣地域の割当てをシステム上で効率的に斡旋(あっせん)できる。また、被災した自治体側は具体的な被災状況に応じ、市町村単位など詳細に派遣先を指定して要請できる。(2)DPATの活動を、インターネットを通じて記録、閲覧することにより、関係機関は最新の状況に応じた支援活動ができる。(3)被災地へ派遣されているDPATの班数や人数、現地での相談対応の状況(延べ人数、相談場所、性別、年齢層、症状)などがシステムによって自動的に集計され、その内容は、被災地への効率的な人員の配置や物資補給に役だてられるだけでなく、将来の有事に備えた事前準備にも活用される。
[編集部]