国立精神神経医療研究センター(読み)コクリツセイシンシンケイイリョウケンキュウセンター

デジタル大辞泉 の解説

こくりつ‐せいしんしんけいいりょうけんきゅうセンター〔‐セイシンシンケイイレウケンキウ‐〕【国立精神・神経医療研究センター】

精神疾患神経疾患筋疾患知的障害その他の発達障害に関する医療について、調査・研究・技術開発および関連する医療の提供、技術者の研修などを行う、厚生労働省所管の国立研究開発法人国立高度専門医療研究センターの一つ。昭和61年(1986)国立武蔵療養所・同神経センター・国立精神衛生研究所を統合し、国立精神・神経センターとして設立。平成22年(2010)独立行政法人移行。東京都小平市に病院と研究所がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

国立精神・神経医療研究センター
こくりつせいしんしんけいいりょうけんきゅうせんたー

精神・神経疾患などの医療に関する研究等を行う、厚生労働省所管の国立研究開発法人(独立行政法人)。英語名はNational Center of Neurology and Psychiatry、略称はNCNP。「高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律」(平成20年法律第93号)に基づく、医療に関する六つのナショナルセンター(国立高度専門医療研究センター)の一つである。国立武蔵(むさし)療養所、同神経センター、国立精神衛生研究所が1986年(昭和61)10月に統合して国立精神・神経センターとなり、2010年(平成22)4月、独立行政法人に移行するとともに国立精神・神経医療研究センターと改称。さらに2015年4月、国立研究開発法人に移行した。所在地は東京都小平(こだいら)市小川東町4-1-1。

 NCNPの基本理念は「精神疾患、神経疾患、筋疾患、および発達障害克服を目ざした研究開発を行い、その成果をもとに高度先駆的医療を提供するとともに、全国への普及を図る」としている。その組織は、六つの研究機関と病院で構成されている。(1)神経研究所では、精神・神経疾患、筋疾患、発達障害などの難病を対象とする。(2)精神保健研究所では、精神医学、心理学、保健学などの多様な側面から精神衛生に関する諸問題の臨床研究、基盤研究を行う。2016年公布・施行の改正自殺対策基本法に基づいて開設された自殺総合対策推進センターや、自然災害の健康被害にかかわるストレス・災害時こころの情報支援センター、薬物の乱用防止と依存症回復支援のための薬物依存研究部などを下部組織にもつ。(3)トランスレーショナル・メディカルセンターでは、研究で得られた成果を病院において臨床応用するための体制の整備を行う。(4)認知行動療法センターでは、不安障害や抑うつ系疾患の治療に用いられる認知療法・認知行動療法の研究を行う。(5)脳病態統合イメージングセンターでは、精神疾患と神経疾患の統合的臨床研究を行う。(6)メディカル・ゲノムセンターでは、「遺伝子・ゲノム情報」と「バイオリソース」を臨床情報と結び付けて保存・活用し、新しい診断法、治療法、予防法を開発し、それを臨床応用する。一方、病院においては、病気の原因解明や高度の専門医療を行うとともに、NCNPの特徴である研究成果の医療への応用に努めており、多発性硬化症センター、筋疾患センター、てんかんセンター、パーキンソン病運動障害疾患センター、地域精神科モデル医療センター、睡眠障害センター、統合失調症早期診断治療センター、気分障害先端治療センター、認知症センター、嚥下(えんげ)障害リサーチセンター、薬物依存症センターを設置している。

[編集部 2019年9月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

国立精神・神経医療研究センター
こくりつせいしん・しんけいいりょうけんきゅうセンター
National Center of Neurology and Psychiatry; NCNP

精神・神経疾患などに関する研究開発・医療機関。国立高度専門医療研究センターの一つで,厚生労働省所管の国立研究開発法人(→独立行政法人)。東京都小平市に所在する。病院と研究機関をあわせもち,基礎研究を行なうとともに高度先駆的医療を含めた臨床応用について研究し,情報発信や人材育成,政策提言なども行なう。おもな研究機関は,精神・神経疾患,筋疾患,発達障害などの治療法を生物学的に研究する神経研究所,脳と心の諸問題を解決するため精神医学,心理学,社会学など多面から包括的な臨床研究,基盤研究を行なう精神保健研究所,病院と研究所を橋渡しし,医療情報や研究資源の解析体制の整備などを行なうトランスレーショナル・メディカルセンターなど。前身である国立精神・神経センターは,1940年に傷痍軍人武蔵療養所として開所した。同療養所は 1945年に国立武蔵療養所に改称,1978年にその一機構として神経センターが発足した。国立武蔵療養所,同神経センター,そして 1952年に千葉県市川市に設置された国立精神衛生研究所が 1986年に統合され国立精神・神経センターとなり,2010年に独立行政法人化,現名称に改称した。

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