日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
災害用音声お届けサービス
さいがいようおんせいおとどけさーびす
携帯電話事業者が提供している災害時専用の無料サービスの一つ。震度6弱以上の地震などの大規模な災害が発生し、家族や知人などに安否や居場所を連絡したい場合、携帯電話(一部)やスマートフォンなどを操作して音声を録音すれば、知らせたい人に音声メッセージが届けられるサービスである。通話の集中などにより音声通話がつながりにくい輻輳(ふくそう)状態になっても、データ通信用のパケット通信を利用するため、比較的安定した回線状態が保たれる。また、従来の災害用伝言板サービスとは異なり、文字入力ができなくても簡単な操作で録音し、音声メッセージを送ることができる。2013年(平成25)4月からは、NTTドコモ、KDDI(au)、沖縄セルラー電話、ソフトバンクモバイルの携帯電話事業者4社の間では、利用者の契約会社とはかかわりなく、同じサービスが利用できるようになった。
実際に大きな災害が発生し、災害用音声お届けサービスの運用が始まると、携帯電話のメニュー画面やスマートフォンにあらかじめインストールしておいた災害用アプリを通じ、運用の開始が利用者に通知される。送信者が録音した音声(1件30秒以内、最大20件)を送信すると、受信者の携帯端末にはSMS(ショートメッセージサービス)で音声メッセージを預かっていることが知らされる。受信者はそのSMSの指示に従って端末を操作し、音声をダウンロードして再生する。受信者が音声を聞き終えると、送信者側にもSMSで再生されたことが通知される。事前に試してみることができるように、毎月1日と15日、正月三が日、防災週間(8月30日~9月5日)、防災とボランティア週間(1月15日~1月21日)には、体験サービスが実施されている。
パケット通信を利用したこのような災害用サービスが認知されれば、これまでのように電話での音声通話の輻輳が軽減され、通信状態が改善されると見込まれている。
[編集部]