日本大百科全書(ニッポニカ) 「災害用伝言板サービス」の意味・わかりやすい解説
災害用伝言板サービス
さいがいようでんごんばんさーびす
大地震や台風、集中豪雨などの災害が発生したとき、インターネットを利用して被災地にいる人の安否情報を確認できるサービス。日本国内で震度6弱以上の地震が発生したときに通信事業者によってサービスが開始される。また、震度5強以下の地震や台風、集中豪雨、噴火などの場合は、被災地との電話の通信状況を考えあわせたうえで、通信事業者の判断によって運用が決められる。通常は電話回線を利用した災害用伝言ダイヤルと同時に提供され、サービスが開始されると、テレビやラジオ、各通信事業者のホームページなどの連絡網を利用して告知される。
災害用伝言板のおもな特徴は次の通り。ただし、詳細はサービス提供会社により異なる。(1)スマートフォンや携帯電話、パソコンなどのインターネット利用者が共通した伝言板を利用できる。(2)携帯電話の通信事業者どうしが連携し、伝言板の相互参照ができる。(3)安否などに関する伝言が登録されると、あらかじめ登録してあった通知先にメールや音声メッセージが届けられる。(4)英語などの他言語に対応する。(5)パソコンやスマートフォン利用の場合、登録可能な文字数や蓄積数が多く、最大6か月にわたって保存される。(6)被災地への電話回線による通話がつながりにくい輻輳(ふくそう)の状態になっても、インターネット利用なので比較的速やかに安否の確認が可能である。
なお、これらの伝言板は無料で利用できるが、通信に伴うインターネット接続費用やパケット通信料は別途必要である。
災害用伝言板は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、ワイモバイルの各通信事業者からサービスが提供されており、スマートフォンなどの対応端末で専用アプリを利用した場合、伝言板と音声メッセージの送信サービスを簡単に利用することができる。また、東日本・西日本の日本電信電話会社(NTT)では、電話番号をキーとしてパソコンやスマートフォンなどから安否情報や音声メッセージの登録・確認ができ、あらかじめ登録された相手には伝言をメールで通知することもできるweb171(災害用伝言板)のサービス提供を行っている。さらに、これらの通信事業者による伝言や、企業や自治体などが保有する安否情報、Google(グーグル)パーソンファインダーから得られる消息情報などを横断的に検索・確認することのできるウェブサイトとして、「J-anpi安否情報まとめて検索」がある。このサイトはNTTと日本放送協会(NHK)の協力によって運営されている。
このような災害用伝言板のサービスは体験利用日として、毎月1日と15日、正月三が日、防災とボランティア週間(1月15日~21日)、防災週間(8月30日~9月5日)に運用されている。
[編集部]