ダンピングとは本来は内外市場において差別価格で売買することを意味するが、一般的には不当に安売りすることをいう。為替ダンピングとは、外国為替相場(自国通貨の対外価値)を不当に切り下げることにより、輸出価格を下げ、輸出の拡大を図ることをさす。すなわち、為替相場が下落すると(日本の場合には円安)、外貨表示の輸出価格が安くなり、対外競争力が強まるので、輸出の拡大が可能となるのである。変動相場制のもとでは、為替ダンピングは市場の成り行きの結果として現れるが、1930年代の世界的不況時には輸出競争の手段として政策的に利用された。為替ダンピングの効果は、特定商品の販路拡大を目的とする商品ダンピングとは異なり、すべての輸出品に及ぶのが特徴である。
[土屋六郎]
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…為替下落に対して高橋蔵相はしばらくは放任主義をとり,1933年春になって外国為替管理法による為替統制を開始した。円を低い水準で安定させて輸出を伸ばした日本に対して,外国は為替ダンピングであるとの非難をあびせた。また高橋は,輸入関税を引き上げて輸入を防遏(ぼうあつ)する保護政策も実施した。…
…経費以下の価格で販売するという古くから行われた行為で,それが外国の輸出者によって行われるときには,輸入国で不当行為として規制されることが多い。輸出価格を動かさずに輸出国の為替相場を実勢相場以下に切り下げる為替ダンピングもある。 ダンピングの不当性を示す典型的ケースは侵略的ダンピングpredatory dumpingと呼ばれるもので,有力な企業が一定期間損失を負って廉価販売を続けて,競争相手を退出させた後で,価格をつり上げて独占利潤を得るというもので,私的独占禁止の理由で規制される。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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