烏羽(読み)カラスバ

デジタル大辞泉 「烏羽」の意味・読み・例文・類語

からす‐ば【×烏羽】

烏の羽。黒い羽。敏達天皇の代に、高麗こまから来た、烏の羽に墨書きした手紙湯気で蒸し、ねりきぬに押し写して読み取ったという故事から、多く「烏羽に書く」の形で、見分けのつかないことのたとえに用いる。
「―に書く玉梓たまづさの心地して」〈山家集・上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「烏羽」の意味・読み・例文・類語

からす‐ば【烏羽】

〘名〙
① 烏の羽。多くは、敏達天皇の御代高麗から烏の羽に墨で書かれた表を献じてきたという「日本書紀」の故事を踏まえて「烏羽に書く」の形で、はっきりわからないこと、見分けがたいことをたとえていう。この羽は湯気で蒸し帛(ねりぎぬ)に押しつけると容易に読み取ることができるという。
書紀(720)敏達元年五月(前田本訓)「高麗の上れる表疏(ふみ)、烏羽(カラスハ)に書(か)けり
※雑俳・柳多留‐一五一(1838‐40)「湯気(ゆげ)の立智恵烏羽に左(ひだり)文字」
※俳諧・望一後千句(1652)九「あやし時雨にぬれぬ五位鷺 鴉羽の黒装束に日のさして」

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