然べし(読み)サベシ

精選版 日本国語大辞典 「然べし」の意味・読み・例文・類語

しかる【然】 べし

  1. そうあるのが適当である。当然である。ちょうどよい。ふさわしい。
    1. [初出の実例]「寺のさかへ会の大なる事しかるへしとみへたり」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
    2. 「イゼンノ シュジンワ ムシンノ コボクデ ゴザレバ、xicarubei(シカルベイ) シュジンヲ アタエ クダサレイト マウス」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポアテナスの人々に述べたる譬へ)
  2. ( 「しかるべく候ふ」の形で ) 話しかけられたり、問いかけられたりしたとき、賛成気持を表わすのに用いる。ようございましょう。
    1. [初出の実例]「一献すすめてとほらばや、しかるべく候とて、長の方へ使をたてて」(出典:曾我物語(南北朝頃)六)
  3. そうなる運命である。そうなるはずである。そういう因縁である。
    1. [初出の実例]「寺の僧共、此を見て、可然(しかるべ)くて出たる水也と云て」(出典:今昔物語集(1120頃か)一二)
  4. そうしてよい。そうすることができる。
    1. [初出の実例]「しかるべうさうらはば、御ゆるされをかうぶって、大臣殿の最後の御車をつかまつり候ばや」(出典:平家物語(13C前)一一)
  5. すぐれている。立派である。相当である。ちゃんとしている。
    1. [初出の実例]「菩薩、可然(しかるべ)き御弟子を以て令問め給て云く」(出典:今昔物語集(1120頃か)四)

然べしの補助注記

( 1 )日葡辞書」の見出しには「シカルベイ、または、xicarubexij(シカルベシイ)」とある。
( 2 )現代語では、連用形から出た「しかるべく」、連体形から出た「しかるべき」の形が用いられるにすぎない。→しかるべきしかるべく

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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