焼付き(読み)やきつき(その他表記)sticking

改訂新版 世界大百科事典 「焼付き」の意味・わかりやすい解説

焼付き (やきつき)
sticking

金属塑性加工の際に生ずる表面欠陥の一つ。金属工具材料との間が圧力作用結合し,その後はがれることによって生ずる。工具と材料との間には大きな摩擦力が作用し,また材料は塑性変形のために表面層である酸化皮膜が破れ,地の金属面が現れている。この金属面は原子結合論から考えてもきわめて活性に富み,場合によっては工具表層の化合物層と凝着したり,表層化合物を還元して金属どうしが結合したりする。焼付きはこのような原子どうしの結合に起因するので,温度が高いほど生じやすい。潤滑を行い摩擦部の温度を低下させること,活性な金属面と反応しやすい物質を送り込むことなどによって防止することができる。
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百科事典マイペディア 「焼付き」の意味・わかりやすい解説

焼付き【やきつき】

(1)金属を塑性加工する際に生じる表面欠陥。圧力の作用によって金属工具と材料との間が結合し,その後はがれることが原因。温度が高いほど生じやすい。(2)軸受ピストンなどの互いにすべりあう金属面において,摩擦による高温のために金属の一部が溶融して粘着する現象

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世界大百科事典(旧版)内の焼付きの言及

【鋳造】より

…鋳物砂,造型法を改善する。(5)焼付きsand burning 鋳物砂が溶湯と反応して,鋳物表面に砂が付着する欠陥。砂の耐火性不足に起因し,砂落しの工程が過重となる。…

※「焼付き」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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