植物の葉,枝,幹などが菌の寄生により黒いすすカビで覆われる病害。植物としては勢いのないときに多い。この菌の寄生は外表性のもので,組織の内側まで侵入することはない。手でこするとちょうど煤煙(ばいえん)のように指にとれてくる。すす病のために決定的な障害を受けることはまれであるが,ひどいときには葉の同化面積が著しく減少するので被害も大きくなる。すす病に関与する菌としては,Capnodium,Cladosporium,Meliola,Pullulariaほかが知られているが,単独で寄生する場合はむしろ少ない。普通はウンカ,ヨコバイ,カイガラムシなどがついた植物で,昆虫の分泌物から養分を得てすす病菌が発達する。イネ,クワ,アオキ,カシ,ミカンなどの葉でよく観察される。これらの害虫を駆除すれば自然になくなる。
執筆者:寺中 理明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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