ウシの胆嚢(たんのう)または胆管中に病的に生じた結石のことで、漢方医学では、強心、鎮静、鎮痙(ちんけい)、解熱、解毒薬として各種の熱病や心悸亢進(しんきこうしん)(動悸)などに応用される。『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』の上品(じょうぼん)に収載されているが、その薬用起源はおそらくインドであろう。
現在の市場品は、オーストラリア、南アメリカ、北アメリカ、ヨーロッパなどで生産されるが、産量が少ないため、じゃ香に次ぐ高貴薬となっている。
形は球形が一般的で、ときに三角錐(すい)状、さいころ状のものもある。大きさは径1~4センチメートル、色は赤褐色ないし黄褐色を呈する。軽質で、ほろ苦さのなかに甘味のあるものが佳品とされる。主成分はビリルビン系色素および胆汁酸などである。牛黄は六神丸(ろくしんがん)などの家庭薬原料としての需要も多い。
[難波恒雄・御影雅幸]
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