物具(読み)もののぐ

精選版 日本国語大辞典 「物具」の意味・読み・例文・類語

もの‐の‐ぐ【物具】

〘名〙
装束調度・理髪具・楽器など一組となって完備したもの。調度品道具
大和(947‐957頃)一二六「家も焼けほろび物のぐもみなとられはてて」
② 公家男女の朝服。男装束帯、女装の唐衣装・表着(うわぎ)打衣・衣(きぬ)張袴からなるものをいう。
※右京大夫集(13C前)「宮の御物のくめしたりし御さまなどの〈略〉めもあやにみえさせ給ひしを」
③ (━する) 武具兵具。また、武者が武具を身につけること。軍装すること。武装
書紀(720)垂仁二七年八月(北野本訓)「兵器(モノノク)を神の幣(まひ)と為(せ)むと卜しむるに」
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「物具(モノノグ)したる兵ども」

ぶつ‐ぐ【物具】

〘名〙 道具。器具

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の物具の言及

【袿】より

…この重ね袿も,後世には5枚に定められ,五衣(いつつぎぬ)と呼ばれるようになった。物具姿(もののぐすがた)(いわゆる十二単)は,唐衣(からぎぬ),裳(も),表着,打衣(うちぎぬ),それに袿と袴と単とを着たものであるが,この正装に対して,ただ袿と袴と単とだけの袿袴(けいこ)という略装が平安中期(10世紀末)に広く行われるようになった。つまり,表面に重ねて着ていたものを脱いで,内部に着ていた袿が表に出て,これが表着となったのである。…

【十二単】より

…公家女子の正装。朝廷出仕の女官で部屋を与えられた者の朝服であるため女房装束といわれ,また日常着の(うちき)姿に(も)と唐衣(からぎぬ)を加える服装であるため裳唐衣とも呼ばれた。十二単は俗称で,単の上に数多くの袿を重ねて着た袿姿を指したが,近世になって,それに裳と唐衣を加えた服装を誤って呼んだものと思われる。たとえば《源平盛衰記》建礼門院入水の段で〈弥生(やよい)の末の事なれば,藤重の十二単の御衣(おんぞ)を召され〉という記述の誤解であろう。…

【束帯】より

…束帯の構成は(ほう),半臂(はんぴ),下襲(したがさね),(あこめ),単(ひとえ),表袴(うえのはかま),大口,石帯(せきたい),魚袋(ぎよたい),(くつ),(しやく),檜扇,帖紙(たとう)から成る。束帯や十二単のように一揃いのものを皆具,あるいは物具(もののぐ)といった。 武官は帯剣し,儀仗や警固に当たるときは弓箭(きゆうせん)を持ち,矢は胡簶(やなぐい)に盛られ後ろ腰に帯びた。…

※「物具」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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