物相(読み)モッソウ

デジタル大辞泉 「物相」の意味・読み・例文・類語

もっ‐そう〔‐サウ〕【物相/盛相】

《「相」は木型の意》
飯を盛って量をはかる器。ふつう円筒形の曲げ物で、飯を各人に供するのに用いた。
物相飯」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「物相」の意味・読み・例文・類語

もっ‐そう‥サウ【物相・盛相】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 飯を盛ってはかる器。ふつう円筒形の曲物で、これに飯を押し込んで型に抜き供する。多く寺院などで用いられる。また、近世牢獄では、これに飯を盛り、抜かずにそのまま人別に供した。模相。〔東京教育大本下学集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「行者飯をもっさうにて盛りて」(出典:多聞院日記‐天文一三年(1544)九月九日)
  3. ( から転じて ) 目分量
  4. もっそうめし(物相飯)」の略。
    1. [初出の実例]「この山のはいづれもいづれも物相にて候へば、うつは物の大小にはよらず候」(出典:咄本・醒睡笑(1628)六)
  5. もっそうあたま(物相頭)」の略。
    1. [初出の実例]「かもじの、そへの、みの、もっそう、一の輪、二の輪、かりわげ、前髪」(出典:松翁道話(1814‐46)三)
  6. ( 物相飯をあてがわれるところから。また一説に、物相頭をしているところからとも ) 主に下僕など、人をあざけっていう語。
    1. [初出の実例]「おいらを尋ねる貴様は、どこのもっそう殿」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

食器・調理器具がわかる辞典 「物相」の解説

もっそう【物相/盛相】

➀飯を盛って一人分の量をはかるための、円筒形の曲げ物の器。計量器を兼ねた型でもあり、型から抜いて供する。近世の牢では、型から出さず、盛り切りにしてそのまま食器として用いた。
茶の湯の点心や和食店・仕出しの弁当などの飯に用いる押し枠。抜き型に飯を詰め、上から押してさまざまな形にかたどる。円筒形もあるが、桜・いちょう・ひょうたんなどの植物、扇・松竹梅などの縁起の良い形のものなどがある。
➂「物相飯」の略。◇浄土真宗大谷派や仏光寺派では、仏前に供える飯に用いる円筒形の型をいう。この場合は「盛槽」と書く。◆「相」は、木型の意。こんにちではステンレス製・プラスチック製などのものもいう。

出典 講談社食器・調理器具がわかる辞典について 情報

今日のキーワード

イチロー

[1973~ ]プロ野球選手。愛知の生まれ。本名、鈴木一朗。平成3年(1991)オリックスに入団。平成6年(1994)、当時のプロ野球新記録となる1シーズン210安打を放ち首位打者となる。平成13年(...

イチローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android