朝日日本歴史人物事典 「猪名部真根」の解説
猪名部真根
雄略天皇の時代(457~479)の木工。猪名部は天皇や氏族に隷属する品部のひとつで,土木技術を提供する工匠集団。その部民の伴造,すなわち工匠集団の長には,新羅系の渡来人が任命されていた。4世紀末ごろ,有能な工匠が新羅より貢進され,造船や土木・建築工事にたずさわっていたという。真根は『日本書紀』雄略13(469)年の記事に名工とうたわれている。雄略天皇は宮殿・楼閣の造営に関心を持っていたといわれ,それらの造営に従事した真根は,日本に仏教建築以前の大陸建築を伝えるのに大きな役割を果たしたのであろう。<参考文献>伊藤ていじ『日本の工匠』
(高橋康夫・冨島義幸)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報