猿を神もしくはその眷属(けんぞく)として敬い祀(まつ)るもの。猿はその形態が人間に似ているところから、古くから山の神として信じられてきた。『今昔物語集』巻26には美作(みまさか)(岡山県)や飛騨(ひだ)(岐阜県)の猿神に生贄(いけにえ)を供える風習の説話がある。昔話「猿神退治」も、人身御供(ひとみごくう)を要求した猿神を旅人が退治した話である。猿を神と考えた地方は多く、山王権現(さんのうごんげん)は猿を神の使者としている。また庚申(こうしん)信仰と結び付いて三猿の石像として祀っている地方も多い。あるいは、厩(うまや)の守護神として猿駒(さるこま)引きの絵馬を掲げる風習もある。河童(かっぱ)もエンコウとよび、猿との関係は深い。
[渡邊昭五]
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