精選版 日本国語大辞典 「玉垂の」の意味・読み・例文・類語
たまだれ‐の【玉垂の】
- 枕 ( 古く「たまたれの」とも )
- ① 玉を緒(お)で貫いて垂らし、飾りとしたものの意から、「緒(を)」と同音を含む語にかかる。
- ② ( ①(ロ)から転じて ) 地名「こす」にかかる。
- [初出の実例]「いとはやも露ぞ乱るる玉だれのこすの大野の秋の初風〈寛尊法親王〉」(出典:新拾遺和歌集(1364)秋上・三二〇)
- ③ 玉で作ったすだれの意で、「御簾(みす)」にかかる。
- [初出の実例]「たまたれのみすのうちには梅花おもひかけたる人やをるらん」(出典:兼澄集(1012頃))
- ④ ( ③から転じて ) 「御簾(みす)」と同音の「見ず」にかかる。
- [初出の実例]「君により我が身ぞつらき玉だれの見ずは恋しと思はましやは〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋一・五六六)
- ⑤ すだれがすけて見えるところから「好ける」にかかる。
- [初出の実例]「たまだれの好ける心と見てしよりつらしてふ事かけぬ日はなし〈よみ人しらず〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)恋一・六六四)