平安前期の廷臣,歌人。三十六歌仙の一人。没年は一説に907年(延喜7)。866年(貞観8)少内記となり,のち897年(寛平9)従四位上右兵衛督に至った。宇多天皇の信任を得,当時の宮廷歌壇を代表する重要歌人であった。《古今集》撰者たちよりも年長で,紀氏,在原氏と親族関係にあった。《江談抄(ごうだんしよう)》などに能書家として知られていたことを伝える逸話があり,京都高雄神護寺の鐘銘が現存している。《古今集》以下の勅撰集に28首入集,家集に《敏行集》がある。歌風は《百人一首》に採られた快いリズム感をもつ〈住江の岸に寄る波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ〉(《古今集》巻十二)に代表される。
執筆者:小沢 正夫
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平安前期の歌人。按察使富士麿の子。母は紀名虎(きのなとら)の女(むすめ)。蔵人(くろうど)、図書頭(ずしょのかみ)、春宮(とうぐう)大進などを経て、従(じゅ)四位上右兵衛督(うひょうえのかみ)に至った。三十六歌仙の一人で、書にも秀でた。宇多(うだ)天皇期の中心的歌人の一人で、『古今集』に19首入集(にっしゅう)しているが、その多くは「是貞(これさだ)親王家歌合(うたあわせ)」「寛平御時后宮(かんぴょうのおおんとききさいのみや)歌合」での作である。著名な詠歌が多く、「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」という一首は『古今集』の秋歌の巻頭に配されており、また恋歌にも優れたものがある。家集に『敏行朝臣(あそん)集』がある。
[川村晃生]
(内田順子)
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