夕月夜(読み)ユウヅクヨ

デジタル大辞泉 「夕月夜」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐づくよ〔ゆふ‐〕【夕月夜】

[名]ゆうづきよ」に同じ。
[枕]
がほの暗いことから、地名の「小倉をぐら」にかかる。
「―をぐらの山に鳴く鹿の」〈古今・秋下〉
夕月夜中に沈み、暁は闇であることから、「暁闇あかときやみ」にかかる。
「―暁闇のおほほしく見し人故に恋ひ渡るかも」〈・三〇〇三〉
月が沈む意で、「いる」と同音・類音を含む地名「入佐いるさ」「入野いりの」にかかる。
「―いるさの山の木隠れに」〈千載・夏〉

ゆう‐づきよ〔ゆふ‐〕【夕月夜】

夕方に出る月。また、その月の出ている夜。ゆうづくよ。 秋》「―島山くずをうちまとひ/たかし
[類語]月夜おぼろ月夜朧夜星月夜雪月夜宵月夜薄月夜十三夜十五夜十六夜

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精選版 日本国語大辞典 「夕月夜」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐づくよゆふ‥【夕月夜】

  1. [ 1 ] 夕暮に出ている月。陰暦一〇日頃までの夕方の時刻に、空に出ている上弦の月。また、その月の出ている夜。ゆうづきよ。⇔暁月夜。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「玉垂の小簾の間通し一人居て見る験なき夕月夜(ゆふづくよ)かも」(出典:万葉集(8C後)七・一〇七三)
    2. 「七日の夕つく夜影ほのかなるに池の鏡のどかに澄み渡れり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
  2. [ 2 ]
    1. 夕方から出ている月は夜中に沈んでしまって、明け方は月の無い闇になるところから、「暁闇(あかときやみ)」にかかる。
      1. [初出の実例]「暮月夜(ゆふづくよ)暁闇の朝影に吾が身はなりぬ汝を思ひかねて」(出典:万葉集(8C後)一一・二六六四)
    2. 夕方のほのぐらいところから、「小暗(をぐら)し」と同音を含む地名「小倉」にかかる。
      1. [初出の実例]「ゆふづくよをぐらの山に鳴く鹿の声のうちにや秋はくるらん〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋下・三一二)
    3. 夕月が入る、沈むの意で、「入(い)る」と同音・類音を含む地名「入佐(いるさ)の山」や「入野(いりの)」にかかる。
      1. [初出の実例]「ゆふ月夜いるさの山の木隠れにほのかに名のるほととぎすかな〈藤原宗家〉」(出典:千載和歌集(1187)夏・一六三)

ゆう‐づきよゆふ‥【夕月夜】

  1. 〘 名詞 〙ゆうづくよ(夕月夜)[ 一 ]《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「暮月夜 ユフヅキヨ」(出典:文明本節用集(室町中))

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