知恵蔵 「琴欧洲」の解説
琴欧洲
元々はレスリングの選手で、欧州ジュニア大会での優勝経験がある。オリンピック出場を目指していたものの、オリンピックの最重量階級が130キロ級から120キロ級に変更されたことから断念し相撲に転向した。
00年ドイツ相撲選手権大会優勝、01年ヨーロッパ相撲選手権大会個人3位・団体優勝などの成績を残し、02年11月場所で初土俵を踏む。ヨーロッパ出身であることからしこ名を「琴欧州」とした。長身とレスリング技術を生かしてスピード出世し、翌03年初場所に7戦全勝で序ノ口優勝。04年5月場所には新十両、7月場所に13勝2敗で十両優勝し、当時としては最速のデビュー11場所で新入幕した。
05年3月場所、新小結に昇進。05年9月場所、新関脇で13勝。翌11月場所も11勝を挙げ、場所後に大関に昇進した。序ノ口デビューから19場所での昇進で、史上最速記録である。この間、殊勲賞2回、敢闘賞3回を受賞している。06年11月場所から、しこ名を「琴欧洲」とした。
端正な顔立ちから「角界のベッカム」と呼ばれ、力強い相撲で人気を集めた。08年5月場所で念願の初優勝を達成し、横綱の期待は大きかったが、その後は、肩、ひじ、ひざ、腰など多くの故障に苦しみ7度の角番を経験した。13年11月場所で左肩を脱臼して途中休場し、大関から陥落。14年初場所で10勝以上を挙げれば大関復帰できるところであったが、8勝7敗で復帰はならず。3月場所で2日目から9連敗して11日目から休場。翌3月20日に引退届けを提出した。引退会見では「お相撲さんになって良かった」と語っている。今後は部屋に残り、親方として後進の指導にあたる。大関在位47場所は史上4位。14年1月に日本国籍を取得している。
(葛西奈津子 フリーランスライター / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報