環大西洋貿易投資パートナーシップ(読み)カンタイセイヨウボウエキトウシパートナーシップ(英語表記)Transatlantic Trade and Investment Partnership

デジタル大辞泉 の解説

かんたいせいよう‐ぼうえきとうしパートナーシップ〔クワンタイセイヤウボウエキトウシ‐〕【環大西洋貿易投資パートナーシップ】

ティー‐ティー‐アイ‐ピー(TTIP)

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

環大西洋貿易投資パートナーシップ
かんたいせいようぼうえきとうしぱーとなーしっぷ
Transatlantic Trade and Investment Partnership

アメリカとヨーロッパ連合(EU)が締結を目ざして交渉しているFTA自由貿易協定)。両者間の貿易、投資、雇用、情報の行き来をより自由にするため、関税撤廃のほか各種規制の統一非関税障壁削減を目ざしている。英語名の頭文字をとってTTIPと略してよばれる。大西洋版、あるいは欧米版のTPP環太平洋経済連携協定)である。2013年2月、アメリカ大統領オバマ、EUのヨーロッパ理事会議長バン・ロンプイHerman Van Rompuy(1947― )、ヨーロッパ委員会委員長バローゾJosé Manuel Barroso(1956― )が交渉開始の準備に入ると声明した。

 アメリカとEUの自由貿易協定については2011年11月に「雇用と成長に関する高級作業部会」を立ち上げ、2013年2月、同作業部会が欧米間でできるだけ早期に包括的な貿易投資協定の交渉を開始するよう勧告した最終報告書がまとめられた。これを受け、両者は2013年7月から自動車や化学薬品の安全基準の統一ルールづくりのほか、知的財産権の保護期間などについて交渉を進めている。アメリカはEUの遺伝子組換え作物の規制法制や、個人情報保護法制も規制緩和交渉の対象と考えている。一方、EUはアメリカ州政府の調達市場開放を要求しているほか、農産物や農産加工品の地理表示を厳格にするよう求めており、両者の主張の隔たりは大きい。

 世界の広域FTA交渉ではTTIPのほか、日本、アメリカ、オーストラリアなど環太平洋の12か国が締結を目ざすTPP、日本、中国、韓国、オーストラリアにインドやASEAN諸国などを加えた16か国のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日本とEUなどのFTAがある。いずれも世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が難航しているため、二国間あるいは一定の地域内のFTA締結を優先するねらいである。とくにEUはアメリカとのTTIPや日本とのFTA締結に取り組み、グローバルな貿易ルールづくりを主導すると同時に、自由貿易をてこに債務危機から立ち直り、経済成長と雇用確保につなげることをも視野に入れている。

[編集部]

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