環太平洋経済圏構想(読み)かんたいへいようけいざいけんこうそう

百科事典マイペディア 「環太平洋経済圏構想」の意味・わかりやすい解説

環太平洋経済圏構想【かんたいへいようけいざいけんこうそう】

アジア,南北アメリカ,オセアニアなど環太平洋諸国の経済協力援助をベースにした経済圏をつくろうという構想。相互に貿易障壁を低くし,貿易・援助・為替などの経済政策分野で協力し合うという内容。該当する国は,日・米・NIEs(新興工業群=韓国・中国・台湾・シンガポール・ブラジル・メキシコなど),ASEAN東南アジア諸国連合),豪州(オーストラリア・ニュージーランド)など。既存の組織としては,すでにPECC(太平洋経済協力会議),PBEC太平洋経済委員会),APECアジア太平洋経済協力会議)がある。 また,マレーシアのマハティール首相の提唱するEAEC東アジア経済会議)構想も注目される。これはASEAN諸国だけでなく,日本,中国,台湾,韓国等も視野に入れているところから,米国などが強い反発を見せている。1993年1月ASEAN自由貿易圏AFTA)が創設され,10年間で0〜5%に域内の関税を引き下げるなど,ASEAN市場の活性化をめざす動きが形成されはじめてはいるが,いずれにしても日本がこの構想にどうかかわるかにその成否がかかっている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「環太平洋経済圏構想」の意味・わかりやすい解説

環太平洋経済圏構想
かんたいへいようけいざいけんこうそう
Pan-Pacific Economic Sphere Proposal

環太平洋地域において関税,貿易,援助に関する経済協力を強め,環太平洋諸国間で一つの経済圏を形成する構想。このような構想は以前よりあったが,この構想の具体的推進母体として 1967年に太平洋経済委員会が,68年に太平洋貿易開発会議が,そして 80年に太平洋経済協力会議が発足した。さらに,近年の貿易,投資を通じた同地域の相互依存の高まりを背景に,政府レベルでもアジア・太平洋協力の必要性が強く認識されるようになり,89年 11月第1回アジア・太平洋経済協力閣僚会議 (APEC) が開催された。

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世界大百科事典(旧版)内の環太平洋経済圏構想の言及

【カナダ】より

…とくに,トルドー政権が1972年に過度のアメリカ依存を脱してECや日本への接近を強めていこうとする〈第三の選択〉を外交政策の一つに据えて以来,カナダは日本をアメリカに次ぐ第2の貿易パートナーとして対日貿易の拡大に努力した。一方,日本は〈環太平洋経済圏構想〉の下に,カナダを重要な資源供給国の一つとみなし,日加協力関係の緊密化に傾注してきたからである。 日加貿易は,1954年の日加通商協定の締結,56年の在加日本貿易センターの設立,76年の日加経済協力大綱の締結,および78年の日加経済人会議の開催といった一連の政府および民間レベルの交渉や会議を通じて,飛躍的な伸びを示した。…

※「環太平洋経済圏構想」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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