甘たるい(読み)アマタルイ

デジタル大辞泉 「甘たるい」の意味・読み・例文・類語

あま‐たる・い【甘たるい】

[形][文]あまたる・し[ク]《「あまだるい」とも》「あまったるい」に同じ。
「―・い強い香が」〈漱石それから

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精選版 日本国語大辞典 「甘たるい」の意味・読み・例文・類語

あまっ‐たる・い【甘たるい】

〘形口〙 あまったる・し 〘形ク〙 (形容詞「あまたるい」の変化した語)
落語・三都三人絵師(1891)〈禽語楼小さん〉「オヤオヤ甘ったるい、アクの脱けない大変な菓子を喰って居るナ」
※艷魔伝(1891)〈幸田露伴〉「甘ったるき語気に男をなでつけ」
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一「弁舌があまり爽快(さはやか)ならねば、ただ何となく甘(アマ)ったるく聞えて」
※桐畑(1920)〈里見弴帰路「甘(アマ)ッたるくて、静かで、そしてなんとなく神秘的な初夏の夜の空が」
あまったる‐さ
〘名〙

あま‐たる・い【甘たるい】

〘形口〙 あまたる・し 〘形ク〙 (「あまだるい」とも)
① 味が度を越してあまい。ねっとりとあまい感じにいう。あまったるい。
※俳諧・風やらい(1801)「あまたるき口をさまさん松の月〈満左之〉」
② 声、態度などが、ひどくあまえかかるような感じである。多く男女間の表現に、親しさ、色っぽさが感じられるのをいう。あまったるい。
※雑俳・柳多留‐四(1769)「あまだるい声で殿様おっかける」
※或る女(1919)〈有島武郎〉前「気を許した女からばかり聞かれるやうな甘たるい親しさ」
③ 性格や考え方などがきりっとしていない。どこか間が抜けている。おっとりしすぎている。あまったるい。
随筆胆大小心録(1808)九三「ただ今のはやり物なれど、買はぬが鑑定の力なるべし。買うては皆かづきのあまたるき人也」
④ 雰囲気などが、悩ましく、だるい感じである。あまったるい。
※俳諧・篇突(1698)「あまたるう春も暮けり干大根〈千川〉」

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