生立(読み)おいたち

精選版 日本国語大辞典 「生立」の意味・読み・例文・類語

おい‐たち おひ‥【生立】

〘名〙
① 生い立つこと。特に、人が成長すること。育っていくこと。育ち。
浮世草子傾城禁短気(1711)二「元来女郎と野郎は、凡夫(ぼんぶ)の生立(オイタチ)仕入れから違ふた物なり」
② 大人となるまでの過程、経歴。成長歴。育ち。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「お勢の生立(オヒタチ)有様生来(しょうらい)子煩悩の孫兵衛を父に持ち」
③ 生まれながらの性質。生まれつき。ひととなり。
滑稽本浮世床(1813‐23)初「生質(オヒタチ)の善者(いいもの)も居候染(じみ)ると心がさもしく成ものさ」
④ 生成すること。発生したばかりであること。また、その物事
※俳諧・春鴻句集(1803頃)秋「鳩ふきにけしの生立踏まれたり」

おい‐た・つ おひ‥【生立】

[1] 〘自タ四〙
① (「おいだつ」とも) 木や草などが生えて立つ。生長する。
古事記(712)下・歌謡「河の辺に 淤斐陀弖(オヒダテ)烏草樹(さしぶ)を」
子供がしだいに成長していく。育っていく。大きくなっていく。成人する。
※宇津保(970‐999頃)吹上上「此の世には生まれおゐたつ人もあらず」
③ 比喩的に、考えや思いなどが広がっていく。
※藪の鶯(1888)〈三宅花圃〉九「さまざまの事耳目に触れて疑ひの種を生長(オヒタタ)しむるのみか」
[2] 〘他タ下二〙 子供をはぐくみ育てる。養育する。育てあげる。
※成尋母集(1073頃)「父(てて)浄飯王と申す、一人養ひておひたて給ひたるとこそは聞き侍れ」

おおし‐た・つ おほし‥【生立】

〘他タ下二〙
草木などを育てて大きくする。育て上げる。
大鏡(12C前)一「植木は、根をおほしてつくろひおほしたてつればこそ、枝も繁りて、木の実をも結べや」
② 子供を育てて大きくする。養い育てる。育て上げる。
※竹取(9C末‐10C初)「などか、翁(おきな)のおほしたてたらんものを、心にまかせざらん」

うまれ‐だち【生立】

〘名〙
① 生まれて間もないころ。生まれたて。
※玉塵抄(1563)六「吾うまれたちからはてまでをしるいたぞ」
② 生まれたときから備わっている性質。生まれつき。
咄本・無事志有意(1798)年の市「紫色雁高、獅子頭、扨(さて)白黒其人の、うまれ立にもよるぞかし」

うまれ‐たて【生立】

〘名〙 (「うまれだて」とも) 生まれて間もないこと。生まれ立ち。
※浮世草子・好色訓蒙図彙(1686)中「うまれだてからつちふまず、銭の数しらず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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