六訂版 家庭医学大全科 「産褥子宮復古不全」の解説
産褥子宮復古不全
さんじょくしきゅうふっこふぜん
Uterine subinvolution
(女性の病気と妊娠・出産)
どんな病気か
子宮復古不全とは、子宮の収縮不全のために産後の子宮の回復が妨げられている状態です。子宮は産褥各時期に比べて大きく軟らかです。
原因は何か
最も多い原因としては胎盤片、卵膜片などの子宮内の残存物があげられますが、そのほか、過度の安静、膀胱・直腸の充満、子宮筋腫(きんしゅ)の合併、子宮内感染などがあります。
症状の現れ方
子宮筋の退縮不全のために断裂血管の圧迫止血が不完全となり、胎盤
胎盤・卵膜の残存物は通常数日後に
検査と診断
産褥期に子宮が異常に大きく軟らかく、子宮底が高いという臨床所見により診断されます。内診所見や悪露に異常が認められた場合には、超音波断層法を行うことが大切です。これにより、子宮の大きさ、子宮内容の残存物や子宮腔内の血液などの貯留が、画像として客観的に評価されます。
治療の方法
子宮の回復のためには、産褥期に極度の安静を避け、排尿・排便を行います。また、授乳を行い、乳頭に刺激を与えることも子宮の回復を促します。バッカク製剤が投与されることもあります。
医療機関では、分娩時の無菌的操作に留意し、子宮内容の完全な除去を図ることが予防になります。悪露が滞留している場合には器械的に子宮
病気に気づいたらどうする
子宮復古不全は産褥晩期出血、細菌感染、産後の性器の機能障害にもつながっていくため、専門医による注意深い産褥管理と適切な早期の処置が必要です。
菊池 昭彦
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報