田実(読み)たのみ

精選版 日本国語大辞典 「田実」の意味・読み・例文・類語

た‐の‐み【田実】

〘名〙
① 田で熟した稲の実。和歌では多く「頼み」にかけて用いる。たのむ。《季・秋》
古今(905‐914)恋五・八二二「秋かぜにあふたのみこそかなしけれわが身むなしくなりぬとおもへば〈小野小町〉」
② 転じて、租税
読本椿説弓張月(1807‐11)拾遺「この秋の田租(タノミ)を、おさめ果るをまちて」
③ (「たのみ(田実)の祝い」の略) =たのむ(田実)の祝い①《季・秋》
公事根源(1422頃)八月「はじめは田のみとてよねを折敷かはらけなどに入て人のもとへつかはしけるとかや」

た‐の‐む【田実】

〘名〙 (「たのみ(田実)」の変化した語)
② (「憑」とも) 「たのむ(田実)の祝い」の略。また、陰暦八月一日をいう。〔文明本節用集(室町中)〕
③ (「憑」とも) たのむの祝いに、進献、贈答する新穀品物
※伊勢家記‐応永二九年(1422)八月一日「公家門跡、武家御憑進上」
御湯殿上日記‐明応九年(1500)七月三〇日「御たのむせうせうまいる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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