…小児の病気のなかで最も恐れられていたのは痘瘡,麻疹であり,大量の子どもがこれで死んだ。小児特有の病気として古くからいわれてきたものに〈虫(むし)〉と〈疳(かん)〉がある。虫という病名は,本来医学用語の体熱の蒸(むし)から出たとされ,のちに小児に多い寄生虫と結びつけて広く用いられるようになった。…
…とくに肩凝りは,外国語には直接対応する言葉がなく,来日した外国人は,最初はこの症状を知らないが,日本的生活に慣れるにしたがって肩凝りを訴えるようになるが,これは気候風土によるよりは,日本的社会における特殊な対人関係に,より深く巻き込まれるためであろう。また,日本の小児について,疳(かん)というのがある。中国の医書によると,脾疳(ひかん),すなわち慢性の消化器障害や腹部の膨満,そして異常な食欲などを示す状態をいうが,日本の場合,疳の虫といわれるのは,夜泣き,過敏性,ひきつけなど,家庭内の静けさを過度に乱すと感じられる逸脱で,これを異常または病気として,虫封じ,疳押えなど治療の対象とする。…
※「疳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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