(読み)かん

精選版 日本国語大辞典 「癇」の意味・読み・例文・類語

かん【癇】

〘名〙
① 発作的に、けいれん失神などの症状をあらわす疾患癲癇(てんかん)ひきつけの類。
※有林福田方(1362‐67頃)五「癇は発則は地に仆れ、舌をかみ沫をはき手足搐搦(ひくめか)し」
歌舞伎繰返開花婦見月(三人片輪)(1874)三幕「おお二人に逢って疑ひが、晴れたと聞いて嬉しやと閉ぢた癇(カン)が開いたか、不断のやうに口が利けます」 〔後漢書‐王符伝〕
② 神経病の総称。〔一本堂行余医言(1788)〕
③ 神経が過敏で、ちょっとしたことでも興奮したり、いらいらしたりする性質気持。疳(かん)
※改正増補和英語林集成(1886)「Kan(カン)ノ ツヨイ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「癇」の意味・読み・例文・類語

かん【×癇】

ひきつけなどを起こす病気
ちょっとしたことにも興奮し、いらいらする性質・気持ち。かん。「が強い」
[類語]喧嘩早い癇癪かんしゃく癇癖癇性ヒステリック虫気怒り腹立ち憤り怒気瞋恚しんい憤怒ふんど・ふんぬ憤懣ふんまん鬱憤うっぷん義憤痛憤悲憤憤激憤慨ふんがい立腹激怒逆鱗げきりん憤ろしい腹立たしい業腹ちゅうっ腹やけっ腹悲憤慷慨短気気短短慮せっかち性急気早気が短い気忙しい直情径行逆上高ぶるのぼせる激するかっとなるいきり立つはやり立つのぼせ上がる血迷う血走る怒りっぽい切れる瞬間湯沸かし器

かん【癇】[漢字項目]

[音]カン(漢)
ひきつけ。「癲癇てんかん
神経質で、怒りやすい気質。「癇癪かんしゃく癇性かんしょう癇癖かんぺき

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【精神病】より

…精神の異常ないし病的状態は人類の歴史とともに古い。古代ギリシア・ローマの時代にはすでに,〈神聖病〉と呼ばれた癲癇(てんかん),黒胆汁の過剰によると説明されたメランコリア,狂乱状態を示すマニア,子宮(ヒュステラ)が体内で動き回る婦人病としてのヒステリーなどが知られていた。これらが〈精神病〉という総称のもとに体系化されるのは,精神医学がやっと自立の活動をみせる19世紀になってからで,〈精神病Psychose〉の語も1845年にウィーン大学のフォイヒタースレーベンE.von Feuchterslebenがその著《心の医学の教科書》で初めて使ったとされる。…

※「癇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android