六訂版 家庭医学大全科 「病原性大腸菌食中毒」の解説
病原性大腸菌食中毒
びょうげんせいだいちょうきんしょくちゅうどく
Pathogenic E. coli food poisoning
(食中毒)
どんな食中毒か
下痢の原因となる大腸菌は、その病原性の特徴から、いわゆる狭義の
症状の現れ方
●腸管出血性大腸菌
腸管出血性大腸菌(
●腸管病原性大腸菌
主な症状は、下痢、腹痛、発熱、嘔吐などで、乳幼児ではしばしば非細菌性胃腸炎や毒素原性大腸菌下痢症よりも重症で、コレラのような脱水症状がみられることがあります。
●毒素原性大腸菌
主な症状は下痢であり、嘔吐を伴うことも多いのですが、腹痛は軽度で発熱もまれです。しかし重症例、とくに小児の場合ではコレラと同様に脱水症状に陥ることがあります。
腸管病原性大腸菌と毒素原性大腸菌感染症における潜伏期間は12~72時間ですが、それより短い場合もあります。
●腸管侵入性大腸菌
主な症状は下痢、発熱、腹痛ですが、重症になると
●腸管凝集接着性大腸菌
症状は2週間以上続く持続性の下痢として特徴づけられますが、一般には粘液を含む水様性下痢および腹痛が主で、嘔吐はまれです。
腸管出血性大腸菌以外の大腸菌による腸炎は発展途上国でよくみられます。とくに毒素原性大腸菌は、発展途上国への旅行者にみられる下痢症では、最も検出頻度が高い細菌です。
治療の方法
下痢症は、症状、季節、年齢などを考慮して適切に診断し、それに応じた治療を行います。
寺嶋 淳
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報