発光剤(読み)はっこうざい

改訂新版 世界大百科事典 「発光剤」の意味・わかりやすい解説

発光剤 (はっこうざい)

光を出すのに用いられる薬剤。炎光剤と火花剤,火の粉剤がある。炎光剤の炎は高温気体反応により原子分子スペクトルを出すもので,その温度が1700~2300℃の低温系のものと2700℃以上の高温系のものがある。低温系は従来の花火に使われていたもので,比較的光が弱い。酸化剤として塩素酸カリウム過塩素酸カリウム過塩素酸アンモニウムなどが用いられ,助燃剤(被酸化剤)にはシェラック,レッドガムなどが用いられる。また炎を着色するために,赤に炭酸ストロンチウム,黄にシュウ酸ナトリウム,緑に硝酸バリウム,青に花緑青,酸化銅などが用いられる。高温系ではさらにこれにマグネシウムを配合する。これは非常に光が強く,低温系の20倍程度になり,比較的新しい花火や照明剤に用いられる。火花剤,火の粉剤は花火に用いられ,固体(または液体)の発光を利用するもので,硝酸カリウム木炭硫黄アルミニウムチタンなどから成る。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android