炭酸ストロンチウム(読み)タンサンストロンチウム

デジタル大辞泉 「炭酸ストロンチウム」の意味・読み・例文・類語

たんさん‐ストロンチウム【炭酸ストロンチウム】

ストロンチウム炭酸塩常温無色斜方晶系結晶。天然ストロンチアン石として産出。酸に容易に溶け、二酸化炭素を発生する。フェライト磁石液晶ディスプレー用のガラス素材、花火などに用いられる。化学式SrCO3

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「炭酸ストロンチウム」の意味・わかりやすい解説

炭酸ストロンチウム
たんさんすとろんちうむ
strontium carbonate

炭酸のストロンチウム塩。天然にストロンチアン石として産出する。人工的には、天青石(硫酸ストロンチウム)と炭酸ナトリウム混合物を融解してつくる。副生した硫酸ナトリウムは水で抽出し除去する。ストロンチウム塩の水溶液炭酸アンモニウムを加えると、純粋なものを沈殿として得ることができる。無色の結晶性物質で、水にほとんど溶けない。わずかに溶けた水溶液は加水分解のため弱アルカリ性を示す。酸に溶けて二酸化炭素を発生する。加熱すると次の反応によって解離する。

  SrCO3SrO+CO2
 種々のストロンチウム塩や酸化物、水酸化物の製造原料となる。

[鳥居泰男]


炭酸ストロンチウム(データノート)
たんさんすとろんちうむでーたのーと

炭酸ストロンチウム
  SrCO3
 式量   147.6
 融点   1497℃(CO2気流中,60気圧)
 沸点   ―
 比重   3.62
 結晶系  斜方
 溶解度  1.0mg/100g(水18℃)
 転位温度 920~927℃(→六方

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化学辞典 第2版 「炭酸ストロンチウム」の解説

炭酸ストロンチウム
タンサンストロンチウム
strontium carbonate

SrCO3(147.63).天然にはストロンチアン石として産出する.ストロンチウム塩水溶液に炭酸アンモニウムを加えると得られる.また,水酸化ストロンチウムに二酸化炭素を吸収させても得られる.無色の斜方晶系結晶.926 ℃ で六方晶系に転移する.強熱すると二酸化炭素と酸化ストロンチウムとに分解する.水に難溶,塩化アンモニウム水溶液に可溶,エタノールに不溶.酸と反応して二酸化炭素を発生してその酸のストロンチウム塩を生じる.二酸化炭素を含む水には炭酸水素ストロンチウムとなって溶解する.ストロンチウム塩の製造,花火(赤色),変色ガラスの原料,ブラウン管,電子材料,蛍光体磁性材料,砂糖の精製などに用いられる.[CAS 1633-05-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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