改訂新版 世界大百科事典 「過塩素酸カリウム」の意味・わかりやすい解説
過塩素酸カリウム (かえんそさんカリウム)
potassium perchlorate
化学式KClO4。塩素酸カリウムKClO3を融点以上に加熱して塩化カリウムと過塩素酸カリウムに変え,前者を少量の冷水で溶出し,残留する過塩素酸塩を熱水から再結晶してつくる。または,過塩素酸ナトリウム水溶液にカリウム塩の水溶液を加え,沈殿する過塩素酸カリウムをろ(濾)別後,エチルアルコールで洗い,熱水から再結晶する。無色斜方晶系の結晶。400℃以上で酸素と塩化カリウムとに分解する。低温ではBaSO4と同じ空間群,高温(>299.5℃)ではNaClのClをClO4で置きかえた構造を示す。比重2.524。屈折率1.4737。100gの水に対する溶解度0.75g(0℃),21.8g(100℃)。エチルアルコール100gに21℃で0.008g,メチルアルコールでは25℃で0.105g溶ける。エーテルに不溶。これらの性質はカリウムイオンの過塩素酸塩としての重量分析に利用される。有機物や可燃物との加熱で爆発するが,塩素酸カリウムより安定である。酸化剤としてロケット燃料,爆薬,花火などの原料,分析試薬に用いられる。
執筆者:藤本 昌利
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報