直紙(読み)なおしがみ

精選版 日本国語大辞典 「直紙」の意味・読み・例文・類語

なおし‐がみ なほし‥【直紙】

〘名〙 美濃国岐阜県)で産出した紙。寸法により、大直・中直・小直の区別があり、主に書状目録などに用い、祭祀にも使われた。

じき‐し ヂキ‥【直紙】

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「直紙」の意味・わかりやすい解説

直紙
なおしがみ

江戸時代に美濃(みの)国(岐阜県)で生産されていた和紙一種コウゾ(楮)を原料とした書院紙に似た上質紙で、目録や書物に使われた。1777年(安永6)刊の木村青竹(せいちく)編『新撰紙鑑(しんせんかみかがみ)』には、弥五兵衛作兵衛、藤兵衛、惣(そう)兵衛などの御用漉(す)き師たちによって漉かれ、大、中、小の3種類があったとあるが、1877年(明治10)刊の尾崎富五郎編『改正諸国紙名録』にはすでにこの紙名はない。

[町田誠之]

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世界大百科事典(旧版)内の直紙の言及

【美濃紙】より

…すなわち蕨生(わらび)を中心として,上野(かみの),片知(かたち),乙狩(おとがり),御手洗(みたらい),谷戸(やど)などで漉かれている。江戸時代の美濃紙を代表する紙は直紙(なおがみ∥じきし)で,障子紙としては最上級と評価された。障子紙は日光に透かして鑑賞されるため,繊維がむらなく整然と美しく漉き上げられていなければならない。…

【美濃紙】より

…すなわち蕨生(わらび)を中心として,上野(かみの),片知(かたち),乙狩(おとがり),御手洗(みたらい),谷戸(やど)などで漉かれている。江戸時代の美濃紙を代表する紙は直紙(なおがみ∥じきし)で,障子紙としては最上級と評価された。障子紙は日光に透かして鑑賞されるため,繊維がむらなく整然と美しく漉き上げられていなければならない。…

【障子紙】より

…そのためには,繊維の並ぶ方向を天地方向のみでなく左右にも均等に向けさせる,すぐれた紙すきの操作が必要となった。江戸時代に障子紙として最高と考えられたのは,美濃の直紙(なおしがみ)で,別に書院紙という名称も生まれ,紋書院のように透しの装飾をした障子紙もすかれた。当時,障子紙として評判の高かった紙は,ほかに周防,陸奥,下野の那須,安芸の広島などからも産した。…

※「直紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」