日本大百科全書(ニッポニカ) 「石けり」の意味・わかりやすい解説
石けり
いしけり
外遊びに属する遊戯で、男女の区別なく行われている。日本におけるこの遊びの歴史は古いものではなく、明治の初年に教育的遊戯として導入された。それが、国内に古くからあった片足跳びの技法と結び付いて急速に発達したものと思われる。石けりの石も、最初は自然の石のなかから丸い平たいものを選んでそれを使ったが、明治中期以後はガラス工業が盛んになって丸い色のついた扁平なけり石が、玩具(がんぐ)店で売られるようになり、子供たちの人気を得た。地面に円形や四角形を描いてそこを石をけり進むのであるが、ろう石、白墨なども使われるようになった。
描く図形はいろいろくふうされて相当複雑なものもあるが、円形と四角の形が基本で、これを多少ずつ変化させ複雑化させている。まずもっとも近い区画の中に石を投げ入れ、片足とびで中から外にけり出す、こんな動作を原形として図形を1回りするのであるが、投げ入れる石が線の上にひっかかったり足のほうが線を踏んだりすると、そこでストップとなり、次の順番を待つのが通例で、区画された部分を過ちなく1周すると、それで上がり。この早さを競うのが石けりの遊びである。もう一つの方法としては、地面の上で行う国とりと同じルールで、スケールを大きくして、足で石をけり込んで領土を広げていくという方法もあった。西欧ではキリスト教と結び付けて、人間の魂の進化に例えて、最後に行き着く部分をパラダイスとよんでいる。
[丸山久子]