黒板などに筆記する用具。チョークともいう。天然にチョーク(白亜)として産する炭酸カルシウムを原料とするものと,石膏(せつこう)を原料とするものがある。1873年フランスから輸入された石膏チョークをもとに大阪の杉本卯之助が製法の研究を始め,2年後には中国産の石膏原石を焼石膏にしたものを砕いて水と混ぜ,スズ(錫)製の型に流して作ったという。初めは石盤に字を書く蠟石の代りに用いられたため蠟石と呼ばれたが,黒板の普及とともに需要も増加し,国産の石膏原石も使われるようになった。炭酸カルシウムチョークはアメリカで作られたが,石灰石を多産する日本でも1935年ころには生産が開始された。炭酸カルシウムチョークは石膏チョークよりも硬く重いが,水に入れると溶ける。顔料で着色した色チョークもある。白墨には手が荒れる,粉が飛ぶなどの欠点も多いが,軽便なため現在でも愛用されている。特殊な白墨として,警察が駐車違反の取締りの際路上に書くために使用するものがあり,耐水性や硬さにくふうがみられる。
執筆者:殖田 友子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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