化学辞典 第2版 「磁化過程」の解説
磁化過程
ジカカテイ
magnetization process
磁性体に外部磁場を加えて徐々にその強さを増加させていくときに,磁性体の磁化が変化していく過程をいう.強磁性体やフェリ磁性体では,一般に磁区が存在するので,磁場を加えるとまず磁区の磁壁が移動して,磁場の方向に近い自発磁化の方向をもった磁区の体積が増加する.この磁壁移動は磁場が弱い間は可逆的に行われるが,磁場が強くなると不可逆的になる.磁場がさらに増加すると,磁壁移動は終わり,そのかわりに磁区内の自発磁化は磁気異方性に抗して磁場の方向へ回転し,最後に磁気飽和に達する.反強磁性体の場合は複雑で,一例として低温で単一磁区にのみ注目すると,この磁区の部分格子の自発磁化の方向に磁場を増加していくとき,ある強さの磁場に達すると,急にそれぞれの部分格子の互いに逆方向を向いた自発磁化は,互いに逆方向を保ったまま磁場とほとんど直角方向に向きがかわり,さらに磁場を増加していくと,それらは徐々に磁場の方向に回転していき,最後に磁気飽和する.交換相互作用の種類が多い反強磁性体(たとえば,CoCl2・2H2O)の磁化過程は複雑であり,磁化過程から交換相互作用の大きさを推定することができる.[別用語参照]磁化曲線,メタ磁性
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報