福光園寺(読み)ふつこうおんじ

日本歴史地名大系 「福光園寺」の解説

福光園寺
ふつこうおんじ

[現在地名]御坂町大野寺

鵜飼うかい橋で笛吹川を渡って国道一三七号を御坂山地へ向かい、栗合くりあいで右に折れてあし川渓谷入口から二キロの地点にある。真言宗智山派。大野山と号し、往古は駒岳山大野おおの寺と称した。本尊は不動明王。創立は不詳。保元二年(一一五七)領主大野対馬守重包が再興、賢安が中興開山となる(寺記)

寺蔵の木造吉祥天女及二天像(国指定重要文化財)の寛喜三年(一二三一)一〇月の胎内墨書銘に「大小野寺」とみえる。銘文によると、大仏師蓮慶作、願主は三枝氏・橘氏・藤原氏(当時の国司)である。この像は甲斐源氏の勃興により衰退の途にあった国司、在庁官人三枝氏らが、国衙勢力の復興を願って造顕したと考えられる。戦国時代には武田信玄帰依を受け、永禄一一年(一五六八)三月、信玄は越後攻めにあたって信濃国長沼ながぬま(現長野市)で、大野寺ほか大善だいぜん(現勝沼町)大蔵経だいぞうきよう(現石和町)慈眼じげん(現一宮町)など、甲斐国内一一ヵ寺に戦勝祈願を依頼している(同月二日「武田信玄廻文写」慈眼寺文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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