御坂山地(読み)みさかさんち

百科事典マイペディア 「御坂山地」の意味・わかりやすい解説

御坂山地【みさかさんち】

山梨県南部,甲府盆地富士山の間の山地黒岳(1793m)を主峰とし,三ッ峠山御坂山などが連なる。第三紀中新世の御坂層からなり,壮年期の荒々しい山形を呈し,かつては駿河・鎌倉方面への交通難所とされた。金川浅川などが北麓扇状地形成,南側には富士五湖がある。
→関連項目一宮[町]九一色郷中道[町]御坂[町]八代[町]山梨[県]

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改訂新版 世界大百科事典 「御坂山地」の意味・わかりやすい解説

御坂山地 (みさかさんち)

甲府盆地と富士山北麓との間に東北東~西南西方向に連なる山地。東端はほぼ桂川と笹子川の谷により,西端は富士川の谷によって限られ,南西の天子山地へと連続する。富士川の支流芦川の谷をはさんで甲府盆地側と富士山側にそれぞれ主稜線があり,後者のほうが高く,1200~1700mの高度を示す。最高所は標高1793mの黒岳。地質は新第三紀中新世の火山岩類を主とした御坂層からなる。甲府盆地を囲む南壁として防御の役割を果たしてきたが,同時に文化交流の障壁ともなり,同一県内であるにもかかわらず,国中(くになか)(甲府盆地)地方と郡内(ぐんない)地方に多くの相違点をもたらしてきた。山地越えは,かつては鎌倉街道の御坂峠中道(なかみち)往還右左口(うばぐち)峠,女坂(阿難坂)によったが,現在はその付近にそれぞれ新御坂トンネル,甲府精進湖(しようじこ)有料道路が建設されている(ともに1994年無料開放)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御坂山地」の意味・わかりやすい解説

御坂山地
みさかさんち

山梨県の甲府盆地東方から南方に連なる地塁状の山地。東は大月市南西から徐々に高度を増し、鶴ヶ鳥屋(つるがとや)山(1374メートル)、御坂山(1596メートル)、黒岳(1793メートル)などを経て三方分山(さんぼうぶんざん)(1432メートル)付近で方向を南にかえ、天守山地からさらに南に延び、長者ヶ岳(1336メートル)から徐々に高度を低下していく。地質は新第三紀中新世の堆積(たいせき)岩と海底火山の噴出物や火山砕屑(さいせつ)岩、および花崗(かこう)岩を主とした深成岩類からなる。山地は断層運動が活発であったために崩壊地も多く、大災害の発生した例もある。しかし、主稜線(りょうせん)の南側は富士箱根伊豆国立公園内であり、富士山の姿はすばらしく、多くのハイキングコースがある。一方、北麓(ほくろく)の甲府盆地側には扇状地群があり、峡東の果実地帯の一部となっている。山地は甲府盆地にとっては障壁であると同時に交通の障害であったが、中央自動車道や国道137号などにより、静岡県と通じている。

[吉村 稔]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御坂山地」の意味・わかりやすい解説

御坂山地
みさかさんち

山梨県南部にある北東-南西方向の山地。最高峰は黒岳 (1793m) 。桂川と笹子川の合流点付近から西へ三ツ峠山,御坂山,黒岳,節刀ヶ岳などが連なり,本栖湖付近で天守山地に続く。地質はおもに新第三紀の御坂層群から成る。南側は富士山の裾野で河口湖,西湖,精進湖,本栖湖が並び,北側は断層崖で甲府盆地に接する。古くから甲府盆地の南の障壁をなし,甲斐国を国中郡内の2地方に分けた。御坂峠越えの鎌倉往還と右左口 (うばぐち) 峠越えの中道が開かれていたが,現在は御坂トンネル,新御坂トンネル,右左口トンネルで越えられる。北麓一帯は曾根丘陵と呼ばれ,石器時代から古墳時代にかけての遺跡が多い。

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