秀吉と利休(読み)ヒデヨシトリキュウ

デジタル大辞泉 「秀吉と利休」の意味・読み・例文・類語

ひでよしとりきゅう〔ひでよしとリキウ〕【秀吉と利休】

野上弥生子の長編歴史小説。豊臣秀吉千利休確執を描く。昭和37年(1962)から昭和38年(1963)にかけて、「中央公論」誌に連載。昭和39年(1964)刊行。第3回女流文学賞受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秀吉と利休」の意味・わかりやすい解説

秀吉と利休
ひでよしとりきゅう

野上弥生子(やえこ)の長編小説。1962年(昭和37)1月~63年9月の『中央公論』に連載発表。64年中央公論社刊。関白太政(だいじょう)大臣豊臣(とよとみ)秀吉と、その茶頭として仕え、かつ政治顧問でもあった千利休、この二大偉人の、虚々実々の緊張した人間関係が、一転して利休の切腹という悲劇的結末に終わった経過を、天正(てんしょう)16年(1588)晩春から19年2月まで、利休晩年の3年間にくぎって、作者の史観、人間観によって周到に描かれた歴史小説。『クオ・バディス』(シェンキェビッチ)のネロペトロニウスの政治家対芸術家の対立が創作発想の源であるが、芸術家利休が自己と闘い、己に打ち勝っての死であったと歴史に解釈を与えた、野上文学最高の傑作。女流文学賞受賞。

渡辺澄子

『『秀吉と利休』(新潮文庫・中公文庫)』

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