朝日日本歴史人物事典 「秦致貞」の解説
秦致貞
平安後期の画家。致貞とも。法隆寺の記録に摂津国大波郷(兵庫県)の住人とある。延久1(1069)年,法隆寺に絵殿が作られた際,その障子絵として「聖徳太子絵伝」(東京国立博物館蔵)を描いた。これは聖徳太子の伝記を描いた作品として現存最古のものであり,かつ最も優れた作品とされる。また同年,木造聖徳太子像(法隆寺蔵)の彩色を行っていることが,その胎内墨書銘から知られる。なお14世紀に編纂された法隆寺の記録集『嘉元記』や『法隆寺別当次第』では「秦致真」と記されている。<参考文献>奈良国立博物館編『聖徳太子絵伝』
(救仁郷秀明)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報