自然淘汰(読み)しぜんとうた

知恵蔵の解説

自然淘汰

人為淘汰(人為選択)の対語で、もともとは、自然的な原因によって特定の個体が選択的に生き残ること。C.ダーウィンは、生物は生きていける以上に多数の子をつくるため、子同士の間で生存競争が生じ、環境により適応した変異をもつ個体だけが生存して子孫を残すことを自然淘汰と呼び、これによって適応的な進化が起こると考えた。現在の進化の総合説では、自然淘汰は個体間ではなく遺伝子間で起こり、適応度の高い遺伝子の頻度が世代を重ねるごとに集団内で増加することによって進化が起こると考える。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

しぜん‐とうた〔‐タウタ〕【自然×淘汰】

[名](スル)
自然選択」に同じ。→人為淘汰
時の経過とともに、優良なものが生き残り、劣悪なものがひとりでに滅びていくこと。「俗悪な雑誌は自然淘汰される」

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世界大百科事典 第2版の解説

しぜんとうた【自然淘汰 natural selection】

自然選択ともいう。生物進化のしくみの中で,最も重要なものと考えられている過程。C.ダーウィンとA.R.ウォーレスが1858年に提出した進化論における進化要因論の中心をなす概念であり,現代進化学においても重要な地位を占める。 今日,この言葉はいくつかの意味に用いられている。その中で最も広義なものは,〈自然によって行われる〉淘汰という意味であり,人間によって(意図的に)行われる〈人為淘汰〉に対立するものである。

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大辞林 第三版の解説

しぜんとうた【自然淘汰】

( 名 ) スル
自然選択しぜんせんたく」に同じ。
から転じて)長い間には、劣悪なものは滅び優良なものが生き残ること。 「安かろう悪かろうの品は-される」

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精選版 日本国語大辞典の解説

しぜん‐とうた ‥タウタ【自然淘汰】

〘名〙 (natural selection の訳語) =しぜんせんたく(自然選択)〔哲学字彙(1881)〕
[語誌]natural selection は元来生物学の用語であるが、その訳語「自然淘汰」は、「哲学字彙」に収録され、加藤弘之が「人権新説」において社会や歴史を分析する概念として用い、論争をひきおこした結果、一般化した。

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世界大百科事典内の自然淘汰の言及

【種の起原】より

C.ダーウィンによる進化論の古典的著作(1859)。正しくは《自然淘汰の方途による種の起原On the Origin of Species by Means of Natural Selection》と呼ばれるように,その内容は進化の要因が主に自然による淘汰にあるとする。当時までに,G.L.L.deビュフォン,E.ダーウィン,J.ラマルクらによって進化思想が述べられてはいたが,明確な要因については想定されていなかった。…

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