倍数性(読み)ばいすうせい(英語表記)polyploidy

翻訳|polyploidy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

倍数性
ばいすうせい
polyploidy

生物の近縁種の間で,体細胞染色体数 2n が,ある基本数 x の整数倍になる現象。整数倍より数個の増減があるときには異数性という。キク属の 2n については,ハマギク,アブラギクは 18,シマカンギクは 36,ノジギクは 54,シオギクは 72,イソギク,コハマギクは 90で,これらの数字は x=9 とした倍数の関係にある。これらはそれぞれ x に関して,2倍性 ( 2n=18 のとき) ,4,6,…,10 倍性 ( 2n=90 のもの) である。

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デジタル大辞泉の解説

ばいすう‐せい【倍数性】

ある生物の染色体の基本数に対して、近縁種などが整数倍の染色体数をもつ現象。一組の染色体を体細胞はふつう2倍もつので二倍体を基準とし、これ以上のものにいう。→異数性

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百科事典マイペディアの解説

倍数性【ばいすうせい】

同種あるいは近い種の個体間で,染色体数に倍数関係の違いが見られる現象。染色体の数は種によって決まっており,生殖細胞におけるものを基本数(nで表す)とすると,体細胞にはその倍(2n)含まれるのが普通であり,これを二倍体と呼ぶ。野生植物のなかに基本数の数倍の染色体をもつものがある。たとえば一粒コムギの染色体数(2n)は14であるが,マカロニコムギ,パンコムギはそれぞれ,28,42で,一粒コムギの基本数の4倍,6倍の染色体をもつので,四倍体,六倍体と呼ばれる。倍数体の出現は種の進化にとって大きな役割を果たしてきたと考えられている。ある生物の染色体数が基本数の整数倍のときを整倍数性,一部の染色体のみに増減があるときを異数性という。倍数性は品種改良のために人工的に作ることも行われ,コルヒチンは染色体倍加剤として有名。
→関連項目ゲノム突然変異

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世界大百科事典 第2版の解説

ばいすうせい【倍数性 polyploidy】

一つの属または種に含まれる生物の間に,倍数関係にある染色体数のみられることがある。例えば,一粒系,二粒系,普通系とよばれる3系のコムギ(それぞれの代表は一粒コムギ,マカロニコムギ,パンコムギ)は体細胞の染色体数(2nで表す)が14,28,42である。染色体数にみられるこのような倍数関係を倍数性という。この倍数系列のうち,もっとも染色体数の少ない種の配偶子の染色体数を基本数basic numberとよび,xで表す。

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大辞林 第三版の解説

ばいすうせい【倍数性】

生物の同一種または近縁種の間に基本数の整数倍になっている染色体数が見出される現象。同種類のゲノムが倍加している同質倍数性と、異なるゲノムが組み合わさった異質倍数性とがある。

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世界大百科事典内の倍数性の言及

【突然変異】より

…なお核性突然変異に対して,葉緑体やミトコンドリアなどの細胞小器官の遺伝物質の突然変異を細胞質性突然変異というが,細胞質性突然変異は伝達の様式(これについては〈細胞質遺伝〉の項目を参照)が特異的である点を除いて,突然変異の起こる機構としては核性突然変異の場合と基本的な違いはない。
[ゲノム突然変異]
 生物は種に固有の染色体構成(ゲノム)をもっているが,それが組として増減するのが倍数性であり,一部の染色体だけが増減するのが異数性である(図1)。これらをゲノム突然変異と呼ぶ。…

※「倍数性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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