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稲荷台1号墳鉄剣銘文 いなりだいいちごうふんてっけんめいぶん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

稲荷台1号墳鉄剣銘文
いなりだいいちごうふんてっけんめいぶん

千葉県市原市山田橋字稲荷台,養老川の右岸台地上に,12基の古墳より成る稲荷台古墳群が存在する。稲荷台1号墳は,1976~77年の発掘調査で,周濠 (しゅうごう) を巡らす直径約 27.5mの円墳と判明,墳頂より2基の木棺跡が検出された。遺物は中央棺より短甲1,剣3,鉄鏃 (てつぞく) ,刀子,北棺より大刀,鉄鏃など,墳丘上より須恵器,土師器が出土。その後 87年に遺物のX線透過撮影が行なわれた際,中央棺出土の鉄剣表面下端より銀象眼 (ぞうがん) の「王賜□安」,裏面に「此廷□□□□」と判読された文字銘が発見された。当古墳は出土した須恵器の型式より5世紀中葉ころの築造と考えられ,鉄剣はそれ以前に製作されたことが明らかである。これは埼玉稲荷山古墳出土の「辛亥年 (471年か) 」銘鉄剣に先立つもので,また稲荷山鉄剣が「大王」の称号を用いるのに対し,単に「王」と称しており,「大王」称号の成立時期と大和政権の伸長について問題を提起することとなった。鉄剣と共伴した短甲や武器が被葬者の軍事的性格を示し,付近に存在する神門古墳群が早くからの畿内との交渉を物語ることと併せ,稲荷台1号墳鉄剣は武人として畿内政権に奉仕した人物への下賜品という性格が考えられる。

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