日本大百科全書(ニッポニカ) 「積み木」の意味・わかりやすい解説
積み木
つみき
木製玩具(がんぐ)の代表的なもの。立方体、円柱、直方体などの立方的形態をもち、並べたり積み上げたりなどの構成する機能を活用して、遊びを展開させる遊具。その種類も多く、大形で箱の形の箱積み木、組み木式のもの、木製の棒、板、車などとねじ、ナット類を組み合わせたマシーントイなどがある。また、文字や絵入り、動物の形に木をくりぬいたものなどもある。積み木はその年齢に応じた用いられ方がある。1歳ごろは積んだものをひっくり返したり、ほうり投げたりし、1歳半前後には積んだり、一列に並べたりする。2歳前後には高い塔や長い汽車をつくるようになる。3歳前後には、いろいろな材料として用い、さまざまなものを組み立てるようになる。
日本における保育のなかに積み木が登場したのは、1876年(明治9)に東京女子師範学校の付属幼稚園が開設されたときである。この年はフレーベルが1840年に世界最初の幼稚園を開いてから36年後ということになる。そして、この時期に使用された積み木は、おもにフレーベルの恩物(おんぶつ)であった。この時代の保育に積み木が取り入れられていたということは、画期的なことである。現在では、幼稚園設置基準(昭和31年文部省令32号)にあるように、幼稚園の設置にあたっては、積み木はかならず備えなければならない教具となっている。積み木は想像したものを自由に構成することができるので、いろいろな欲求を満たすことができ、構成の能力を育て、豊かな創造性や思考力を伸ばすことができるものとして、育児玩具のなかでも大きな分野を占めている。
[山崖俊子]