積極哲学(読み)せっきょくてつがく(その他表記)positive Philosophie

日本大百科全書(ニッポニカ) 「積極哲学」の意味・わかりやすい解説

積極哲学
せっきょくてつがく
positive Philosophie ドイツ語

後期シェリング哲学立場をさし、消極哲学に対置される。ものの実存の積極的条件理性を超越した「無底」としての神の意志である。有限的事物は神からの転落であり、歴史・神話宗教は神的原理発展であるとする。

[藤澤賢一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「積極哲学」の意味・わかりやすい解説

積極哲学
せっきょくてつがく
positive Philosophie

シェリングの晩年の思想をさす言葉。彼は本質と実存,可能性と現実性を区別し,彼のそれまでの哲学をも含めて従来の合理的哲学は物の本質と可能性しか問題にしなかったとした。しかしそこではまだ物の実存が与えられていないために消極哲学にとどまっている。シェリングはこれに,なにゆえに物が現実に存在するかを問う積極哲学が加わらなければならないとする。彼はこれを自然宗教としての異教に関する神話の哲学とキリスト教に関する啓示の哲学として展開する。彼のこの思想は実存哲学との関係において近年注目を浴びている。

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